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【週報巻頭言】2020年11月1日 主イエスの後に従う(マルコ8章31~38節)

イエスは振り返って、弟子たちを見ながら、ペトロを叱って言われた。「サタン、引き下がれ。あなたは神のことを思わず、人間のことを思っている。」(マルコ8章33節)

イエスさまがペトロを叱っています。それもかなり強烈な言葉です。「サタン、引き下がれ。あなたは神のことを思わず、人間のことを思っている」。まるでペトロをサタン呼ばわりしているような言葉です。確かにイエスさまはペトロに向かって言われましたから、ペトロをサタンと呼んだように思えますが、私は二つの意味でイエスさまはこのことを言われたのではないか、と思います。

一つは、イエスさまはペトロを誘惑するサタンに対して、「サタン、引き下がれ」と言われたのです。サタンよ、私の愛するペトロを誘惑してはならない!と叱りつけたのです。イエスさまご自身、サタンの誘惑を受けたことがあります(マルコ1章12、13節、マタイによる福音書4章1~11節など)。イエスさまはサタンの誘惑に対して、神さまの言葉によって退けられました。そして、ここでも主は「サタン、引き下がれ」と言われ、ペトロを誘惑から守ったのです。

もう一つの意味はペトロ自身に対してです。ペトロよ、サタンの誘惑に陥ってはならない。人間の思い、自分の思い、それ以上に、神さまの思いを優先させなさい、と言われたのです。サタンは私たちが人間の思い、自分の思いを優先させようとする時、それにつけ込んできて、私たちを神さまから引き離そうとさせるのです。

ところで、「サタン、引き下がれ」という言葉ですが、直訳的には、「サタンよ、私の後ろに失せろ」(岩波訳)ということです。イエスさまの後ろに行ってしまいなさい、ということです。ところがイエスさまの後ろではなく、前に行こうとするなら、それはイエスさまを主としていないことになります。自分が前にいて、イエスさまを従わせようとする。それはイエスさまの弟子の生き方ではありません。イエスさまを主と信じる人はイエスさまの後に従うのです。

ペトロは弟子たちの中で率先して信仰告白をしました。信仰告白をさせたのは神さまのお働きによることです(マタイ16章17節)。それなのに、ペトロは自分の悟りや力で決心し、信仰を告白したのだ!と考えてしまったのかもしれません。それでイエスさまの後ろではなく、前に出てしまったのです。イエスさまが語られた十字架と復活、救いのみわざを否定してしまったのです(マルコ8章32節)。それでイエスさまはペトロをお叱りになりました。

私たちもこのペトロのように、主と共に歩んでいながらも、イエスさまの言われることから離れてしまう。イエスさまの後ではなく、前に進んでしまうことがあるかもしれません。その時、イエスさまのこの厳しい言葉を思い起こしたいと思います。「サタン、引き下がれ」。イエスさまの後ろに行きなさい!イエスさまの後に従っていきましょう。

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