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板橋 教会 クリスマス

「お言葉どおり、この身に成りますように」ルカによる福音書1章26~38節 2023/12/03 SUN.

「お言葉どおり、この身に成りますように」ルカによる福音書1章26~38節 2023/12/03 SUN. 赤塚教会礼拝説教

聖書―ルカによる福音書1章26~38節
(はじめに)
 教会暦、教会のこよみでは、今日からアドベント、待降節です。アドベントというのは、ラテン語で到来という意味です。何の到来かというと、イエス・キリスト、私たちの救い主が到来されるということです。アドベントは、日本語では、待降節と言いますが、これはキリストのご降誕を待ち望むという意味です。今月12月の日曜日の礼拝では、イエスさまのご降誕、イエスさまがお生まれになったことが書かれている聖書の言葉からお話しします。

(聖書から)
 お読みした聖書の個所は、ルカによる福音書1章26~38節です。26~28節をお読みします。
1:26 六か月目に、天使ガブリエルは、ナザレというガリラヤの町に神から遣わされた。1:27 ダビデ家のヨセフという人のいいなずけであるおとめのところに遣わされたのである。そのおとめの名はマリアといった。1:28 天使は、彼女のところに来て言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」
 「六か月目」というのは、エリサベトという女性が身ごもって、六か月目ということです。エリサベトは、マリアとは親類関係にありました(36節)。この後、エリサベトからは、バプテスマのヨハネが生まれ、マリアからは、イエスさまが生まれることになります。
 天使ガブリエルとは誰かというと、天使とは神さまから遣わされた者で、神さまの言葉を告げ知らせる働きをする者です。天使は、エリサベトの夫ザカリアに男の子が生まれることを告げました(13節)。これを聞いたザカリアは大変驚きました。なぜなら、ザカリアも妻のエリサベトも年を取っていたからです。彼らにとっては信じられないようなことでした。けれども、天使が告げたとおり、妻エリサベトは子供を身ごもりました。
 その天使ガブリエルが、今回の聖書個所では、ガリラヤのナザレの町に神さまから遣わされた、ということが書いてありました。27節にありますように、天使は、ダビデ家のヨセフ、イスラエルの王ダビデの血筋であるヨセフのいいなずけであるマリアのところに遣わされた、ということです。
 天使は、マリアにこう言いました。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」。「おめでとう」と言っています。これは、直訳的に訳すと、「喜びなさい」ということです。この言葉を聞いて、マリアはどう思ったでしょうか。29節には、その様子について、このように書かれています。
1:29 マリアはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ。
 おめでとう、喜びなさい。このように言われて、マリアは戸惑いました。そして、「いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ」とあります。マリアは、私に何か、おめでたいことがあるのだろうか?喜ばしいことがあるのだろうか?そんなふうに思ったのかもしれません。
 戸惑い、考え込んでしまったマリアに、天使は、再び、このように告げます。
1:30 すると、天使は言った。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。1:31 あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。1:32 その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。1:33 彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない。」
 天使は、マリアに、あなたは神さまから恵みをいただいた、と言いました。神さまからの恵み、それはいったい何でしょうか?その恵みについて、天使は言いました。「あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない」。
 マリアは、自分に与えられる神さまの恵みを聞いて、このように言いました。
1:34 マリアは天使に言った。「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」
 マリアは、自分がまだいいなずけと結婚生活を始めていないのに、男の子が生まれるなど、ありえない、と言っています。それに対して、天使はこのように言います。
1:35 天使は答えた。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。1:36 あなたの親類のエリサベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。1:37 神にできないことは何一つない。」
 ありえないこと、とマリアは言いましたが、天使はこのように答えています。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む」。これはどういうことかというと、聖霊によって、あなたは身ごもる、ということを言っているのです。聖霊によって生まれるから、その子は、聖なる者、神の子と呼ばれるのだ、というのです。さらには、親類のエリサベトの話を持ち出しています。先ほどもお話ししましたが、エリサベトは、年を取っていて、子供を産むことはできない、と夫のザカリアは考えていましたが、天使を通して告げられた神さまの言葉は実現した、と言っているのです。
 「神にできないことは何一つない」。多くの聖書の翻訳はこれと同じように訳していますが、文語訳聖書では、「それ神の言には能わぬ所なし」と訳されています。神さまの言葉には不可能なことはない、という意味になるでしょうか。神さまの言われること、神さまの言葉は不可能なことはない。神さまの言葉は必ず実現する。私たちも神さまの言葉を信頼していきたいと思います。
 さて、「神にできないことは何一つない」。この言葉を聞いたマリアは、このように答えています。
1:38 マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」そこで、天使は去って行った。
 マリアは、自分のことを「主のはしため」と言いました。これは、神さまの僕(しもべ)ということです。そして、「お言葉どおり、この身に成りますように」と言いました。神さまのお言葉のとおりに、神さまの言われるとおりに私の身に成りますように。それは、私は神さまに従います。私の人生を神さまの言葉によって導いてください、ということです。天使から告げられた言葉を聞いて、戸惑い、考え込んだマリアでした。しかし、天使を通して語られた神さまの言葉と対話していく中で、マリアの心は神さまに開かれていきました。そして、「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」と言うことができたのです。これは、マリアの信仰告白と言ってもよいと思います。

(むすび)
 天使は、マリアに「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」と言いました。何がおめでたいのか、喜ばしいのか、というと、神さまがあなたと共におられるから、というのです。また、「あなたは神から恵みをいただいた」ともあります。
 私は、この聖書の個所を改めて読みながら、神さまの恵みとは何だろうか?と考えました。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」、「あなたは神から恵みをいただいた」。天使がマリアに言ったこの言葉を初めて読んだときには、マリアは救い主の母となった人だから、この人はこのように言われても当然だ、と思っていました。けれども、信仰生活を歩んでいく中で、これらの言葉は、私たち一人一人に語られている言葉ではないか。この私にも語られている言葉ではないか。そう思うようになりました。
 ただ、時々、私たちは、この恵みを、神さまの恵みを見失ってしまうことがあるのではないかと思います。目の前の試練によって、苦しみにあって、神さまの恵みを恵みと思えなくなってしまうことがあります。神さまの恵みが分からなくなってしまうこともあります。マリアはどうだったでしょうか。マリアは、天使から告げられた言葉を聞いて、初めは戸惑いました。来週礼拝でお読みします聖書の言葉、マリアの賛歌と言われる個所で、マリアは、自分のことを「身分の低い、この主のはしため」(48節)と言っています。この言葉から、マリアの境遇がどのようなものであったかが想像できますが、マリアは、あなたは恵まれている、と言われても、初めのうちは何のことかさっぱり分からなかったと思うのです。自分のこととは思えなかったかもしれません。でも天使を通して、神さまと語り合っていくうちに、神さまとの交わりの中で、神さまが与えてくださった恵み、救い主がこの私のところにおいでくださったという恵みに気づかされていったのではないでしょうか。救い主は、私たちが試練や苦しみのただ中にある時にも、その私たちと共におられる方なのです。
私たちは、このアドベントの時、この私のために、私のところに、救い主がおいでくださった。これこそが何よりも大きな恵み、神さまの恵みであるということを、教会のみんなと一緒に分かち合っていきたいと思うのです。また私たちの周りの方々、私たちの友人や家族、知り合いの方とも分かち合っていきたいと思うのです。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」、「あなたは神から恵みをいただいた」。この言葉は私たち一人一人に語られている。私たちにこの恵みが与えられている。お祈りしましょう。

祈り
恵み深い私たちの主なる神さま
 アドベント、待降節の時を過ごしています。
 神さまは、天使を遣わして、神さまの恵みが与えられたことを告げ知らせてくださいました。
 神さまの恵み、それはイエス・キリストです。この恵みはすべての人に与えられました。
 私たちは、そのことを知っていますから、信じていますから、この福音を、人々にお知らせする者として用いてください。
 私たちの救い主イエス・キリストのみ名によってお祈りします。 アーメン

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