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「本当に恐れるべきものは?」 マタイによる福音書10章26~33節 2024/ 2/ 4 SUN.

「本当に恐れるべきものは?」マタイによる福音書10章26~33節 2024/ 2/ 4 SUN. 赤塚教会礼拝説教

(はじめに)
 恐れるな。聖書が繰り返し、私たちに語るメッセージです。今日お読みした聖書にも、恐れるな、というメッセージが語られています。「人々を恐れてはならない」。何を恐れるな、と言われているのかというと、ここには、人々を恐れてはならない。人を恐れるな、というメッセージが語られています。しかし、私たちは、人を恐れます。また、将来を恐れます。そういう私たちに、それでも聖書は繰り返し、恐れるな、と語ります。

(聖書から)
 26節をお読みします。
10:26 「人々を恐れてはならない。覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはないからである。
 「人々を恐れてはならない」。この言葉に続いて、「覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはないから」と語られています。恐れてはならない、恐れなくてもよい。なぜなら、覆われているもので現されないものはない。隠されているもので知られずに済むものはないからだ。このようにイエスさまは語られたのではないでしょうか。ところで、何が覆われているのでしょうか。何が隠されているのでしょうか。27節を読んでみましょう。
10:27 わたしが暗闇であなたがたに言うことを、明るみで言いなさい。耳打ちされたことを、屋根の上で言い広めなさい。
 ここで「わたし」とあるのは、イエスさまのことです。イエスさまが暗闇であなたがたに言うことを、明るみで言いなさい。耳打ちされたことを、屋根の上で言い広めなさい、と言っているのです。暗闇とは何でしょうか?私は、この世のことを言われているように思います。この世は暗闇のようである。しかし、イエスさまは、そこでご自分の弟子たちに語られるのです。光の言葉、希望の言葉を語られるのです。闇に光を、希望をもたらす言葉、それは福音です。そして、あなたがたは私から聴いた福音を、明るみで言いなさい、屋根の上で言い広めなさい、と命じられるのです。この「言いなさい」、「言い広めなさい」という言葉は、強い命令の言葉だそうです。ですから、福音とは、語っても、語らなくてもよいようなものではないのです。言いなさい、言い広めなさい、と言われたように、ぜひとも、あなたがたは私から聴いた言葉、この福音を語っていきなさい。この闇の中で、この世の中で、語っていきなさい、と言われるのです。
 もう一度、26節の言葉を読みますと、「覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはない」とありました。私たちが、イエスさまから聴いたことを、福音を語っていこうとしても、それが覆われてしまったかのように、隠されてしまったかのように思えることがある。私たちは、世にあっては、小さな群れです。私たちがどんなにイエスさまを伝えても、福音を語り伝えても、それは小さく、弱々しくしか聞こえないかもしれない。世の中の大きな声にかき消されてしまうように思えるかもしれません。しかし、主は、そうではないのだ、と言われるのです。「覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはない」。この言葉から、私は、旧約聖書・イザヤ書55章の言葉を思い起こします(イザヤ55章8~11節)。
55:8 わたしの思いは、あなたたちの思いと異なり/わたしの道はあなたたちの道と異なると/主は言われる。
55:9 天が地を高く超えているように/わたしの道は、あなたたちの道を/わたしの思いは/あなたたちの思いを、高く超えている。
55:10 雨も雪も、ひとたび天から降れば/むなしく天に戻ることはない。それは大地を潤し、芽を出させ、生い茂らせ/種蒔く人には種を与え/食べる人には糧を与える。
55:11 そのように、わたしの口から出るわたしの言葉も/むなしくは、わたしのもとに戻らない。それはわたしの望むことを成し遂げ/わたしが与えた使命を必ず果たす。
 神さまの言葉は、むなしくもとに戻るようなことはないのです。神さまの言葉は生きて働いて、神さまのみ心が必ず行われるのです。私たちに神さまが託してくださった福音、福音そのものが生きて働かれることを信じていきたいと思うのです。
 恐れるな。そのことについて、28節にはこのようなことが語られています。
10:28 体は殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。むしろ、魂も体も地獄で滅ぼすことのできる方を恐れなさい。
 「体は殺しても、魂を殺すことのできない者ども」。これは誰のことでしょうか?イエスさまの弟子たちを迫害する者たちのことが言われています。彼らは、体を殺すことはできる。けれども、魂を殺すことはできない、と言われています。体を殺す、というのは、文字通り、この体、肉体のことです。地上における命です。このことから、主を信じる者たちの命を亡き者にしようとする人たちがいたことが分かります。しかし、彼らは私たちの命を奪うことはできるが、魂を殺すことはできない。私たちに与えられた永遠の命を奪うことはできない、ということが言われているのです。
 それに対して、「魂も体も地獄で滅ぼすことのできる方」というのは、神さまのことです。神さまは、永遠の裁きをもたらすことができる方です。だから、人ではなく、神さまを恐れなさい、と主は言われます。神さまを恐れなさい。神さまは、私たちを救うことも、裁くこともできる方。私たちは人を恐れるけれども、神さまこそは最も恐れるべき方。
 今日の聖書には、恐れということについて、恐怖の恐れという言葉が使われていますが、神さまの場合は、この恐怖の恐れというよりも、畏れ敬う、畏怖、この畏れの方がふさわしいと思います。神さまを畏れる。このことについて、ある方はこのように言っています。

1. 神を畏れるとは、人知を超えた偉大な存在(人間の知識、知恵力の及ばない存在)を認めることである。
2. 神を畏れるとは、自分(人間)が今存在し生きているのは自分(人間)の力だけに依らないことを認めることである。
3. 神を畏れるとは、自分(人間)が宇宙(世界)の中心にいるのではないという事実を認めることである。
(国際基督教大学元名誉教授 吉野輝雄氏の「神を畏れることは科学のはじめ」から一部引用)

 私たちが聖書から教えられる信仰。それは、人を恐れることから、神さまを畏れることへの転換ということが言えると思います。 

(むすび)
 イエスさまは恐れるな、と語られました。そして、そのことを通して、本当に恐れるべき方、神さまこそ、畏れるべき方であることをお示しになりました。29節以下では、雀と髪の毛の例えで語られています。
10:29 二羽の雀が一アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、あなたがたの父のお許しがなければ、地に落ちることはない。10:30 あなたがたの髪の毛までも一本残らず数えられている。10:31 だから、恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている。」
 一アサリオンとは、一デナリオン(一日の労働賃金)の16分の一です。二羽の雀が一アサリオンというのは一羽だったら売り物にもならないような小さな、価値のないようなものという意味です。しかし、「その一羽さえ、あなたがたの父のお許しがなければ、地に落ちることはない」というのは、その一羽も神さまにとっては大切な存在であることが言われているのです。ここには「その一羽さえ、あなたがたの父のお許しがなければ、地に落ちることはない」と訳されていますが、この「お許しが」というのは、補足された言葉です。ですから、「その一羽さえ、あなたがたの父がいなければ、地に落ちることはない」というのが、直訳的です。ある方は、その一羽と父なる神さまは一緒に落ちてくださる、と説明しています。つまり、神さまは、一羽の雀、無価値とも思えるその一羽とどこまでも、生も死も一緒に歩んでくださる。それほどに一羽の命を大切にしておられる、というのです。そうであるならば、神さまはあなたがた一人一人のことをどれだけ大切にしておられるだろうか、と主は語っておられるのです。
「あなたがたの髪の毛までも一本残らず数えられている」とありました。それは、私たちのどんなに小さく思えるようなことまでも、そのすべてを神さまは知っておられる、気にかけておられる、ということです。だから、あなたがた一人一人に向けられた神さまの愛をおぼえて、神さまを畏れつつ生きて行こうではないか、と主は言われるのです。私たちは、神さまを畏れて生きる者、神さまの愛をおぼえて生きる者でありたいと思います。

祈り
恵み深い私たちの主なる神さま
 主は、ご自分の弟子たちを福音宣教の場に送り出す時、恐れるな、と語られました。主があなたたちと共におられるから、福音そのものに力があるから、恐れなくてもよいと語られました。
 今、主はこの言葉を私たちにも語られます。私たちは主を信頼して、福音を信頼して、宣教のわざに歩ませてください。そして、新たに、主に出会い、福音に生かされる人がありますように。
 私たちの救い主イエス・キリストのみ名によってお祈りします。 アーメン

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